超詳しい卒塔婆のおはなし~その7~地域によって卒塔婆の大きさや形って違うの
こんにちは「卒塔婆屋さん」代表の谷治です。
一口に卒塔婆といっても、さまざまな種類があり、それによって大きさや形式も異なります。どんな卒塔婆を立てるかは地域によって違いがあるのでしょうか? 今回は、地域によって異なる卒塔婆事情について考えてみたいと思います。
卒塔婆は、地域によって異なる
卒塔婆の習慣は、地域やその土地の風習によって大きく異なるというのが実情です。地域ごとに扱う卒塔婆も異なるため、その形や大きさも違ってくるでしょう。
地域によっては、親戚同士で卒塔婆をやり取りする習慣もあります。また、卒塔婆を立てない地域、ほとんど義務化している地域もあり、卒塔婆の習慣はその土地の風習が大きく関わってくるといえるでしょう。
卒塔婆の大きさに関しては、地域による明確な違いはありません。しかし、傾向として関東や東北、北海道は5尺や6尺の様な長いもの、東海から西では3尺以下の短いものが使われています。これは、お墓参りの仕方が違うことに起因するらしいです。関東では主にお墓参りは立って拝みます。これが関西だとしゃがんで拝みます。卒塔婆が目線の高さになるようにと考えれば、卒塔婆の大きさの傾向にも納得が行きます。もちろん関東や東北でも短い卒塔婆を使うお寺もあれば、関西でも長い卒塔婆を使うお寺もあります。
回忌による長さの違いも、私どものデータではほとんどのお寺は使い分けをしていないです。基本的には6尺をご利用のお寺なら、施餓鬼会、法事に関わらず同じサイズを使っています。
最近の傾向としては、書きやすさや、携帯性から短いものに変更されるお寺も多くなってきました。
宗派や地域による卒塔婆の大きさの違いについて、何人かのご住職にお伺いしたことがありますが、特に決まりはなく、そのお寺も代々この大きさなのでそうしているだけというお答えでした。むしろ、短くしたいんだけど大丈夫かな?と逆に質問されました。もしかしたら、最初は理由があったのかもしれませんが、それが慣習となってしまうと、なかなか理由はわからないですよね。
卒塔婆の種類
卒塔婆の種類は全部で5つ。それぞれの特徴を簡単に説明しましょう。
板塔婆
厚さ1cm、長さ60~180cmくらいの卒塔婆で、主にお墓の後ろに立てます。多くの墓場で見られる卒塔婆はこの板塔婆と考えていいくらい、一般的に用いられています。「卒塔婆屋さん」でも卒塔婆と言えばこちらの板塔婆のことを指しています。
角塔婆
長さ120~240cm、幅10cm~15cmくらいの、四角柱で頭の部分は板塔婆を立体的にしたような形で、五輪の刻みも板塔婆同様に付いています。角塔婆は回向柱とも呼ばれ、有名なところでは長野県の善光寺の7年に一回行われる善光寺前立本尊御開帳では高さ10m、太さ45cm四方、重さ3トンという超巨大な回向柱が善光寺本堂前に建立されます。この様に角塔婆=回向柱は主にお寺の行事の際に本堂の前に建てます。
墓標(ここでは木製のものをさします)
長さ120cm~240cm、幅10cm~15cmくらいの、四角柱で頭の部分は四角錐状になっています。仏式と神式があり、仏式の頭部分は四角錐、神式は平らになっています。墓石ができるまでのお墓変わりの墓標として活用されるケースもあります。最近では生前に自身のお墓を建てる方も増えて来ており、年々減少傾向です。
七本塔婆
長さ30~40cmくらいの板塔婆です。初七日から49日までの期間、7日ごとの法事で使われます。
経木塔婆
板塔婆より薄く、小型の卒塔婆です。川に流して供養することから水塔婆と呼ばれることも。お彼岸や施餓鬼法要などで用いられることも多いです。経木塔婆=水塔婆は関東の人には馴染みがないと思います。主に京都府や奈良県など関西で使われることが多いです。経木塔婆は板塔婆と全く作り方が違います。板塔婆は鉋で削って表面を一本一本仕上げますが、経木塔婆はブロック上の木材を塔婆の形にしてから、鉋で薄くスライスしていきます。
梢付き塔婆
三十三回忌や五十回忌などの弔い上げ(年忌の最後)に用いられる卒塔婆で、枝葉のついた生木をそのまま使用することから「生木塔婆」とも呼ばれます。よく用いられる木材は、杉や松、柳など。地域によっては、梢付き塔婆を普通の板塔婆で弔うところもあります。
宗派によっても大きく異なる
卒塔婆の種類や大きさ、表面に記される梵字などは、宗派によっても違いが見られます。とくに浄土真宗では、追善供養という考えそのものが存在しないため、卒塔婆を必要としません。亡くなられた人も、現世を生きる私たちも、みな阿弥陀様の功徳の中にあるというのが浄土真宗のスタンスです。
宗派や地域によって供養のかたちが異なるといえ、根底に「やすらかに眠って欲しい」と願う気持ちはみな同じです。どんな場所で卒塔婆を立てるにしても、その気持ちを常に大切にしたいですね。
この記事を書いた人
DAISUKE YAJI
プロフィール
1999年3月 筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月 株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年 カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年 カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
2023年 ネットショップグランプリ特別賞授賞
義父・義母・義妹・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
最近NVANを5年リースで手に入れたのでソロキャンプや車中泊に挑戦したい