超詳しい護摩札のおはなし~その8~護摩札の返納の仕方

こんにちは「卒塔婆屋さん」代表の谷治です。8回に渡り連載してきました。超詳しい護摩札のお話も本日で最終回となります。最終回は護摩札の返納の仕方についてお話します。
目次
護摩札の返納の仕方
お札は長期間祀っているあいだに、宿した不動明王のパワーが少しずつ弱くなっていきます。効力が弱まってきた護摩札は、寺院に返納し、新しいものを頂くとよいでしょう。力が薄れてきた護摩札は悪い気にけがされやすいため、定期的に返納し、新たなに護摩祈祷をしていただくと理想的です。この項目では、護摩祈祷でいただいた護摩札の返納方法や、寺院へ御礼まいりに伺う際の注意点についてご紹介します。
護摩札を返納するタイミング
新しい護摩札に交換しなければいけない期日や期間はとくに決まっていません。しかし護摩札に宿った不動明王の力は、およそ1年続くと言われています。そのため、だいたい1年を目安に、再度寺院の参拝や護摩祈祷を行えると望ましいですね。
なかには毎年の初詣に訪れる際に古い護摩札を納め、新しい護摩札をいただいてから帰ると言う人も多いそう。寺院では元旦に護摩祈祷を行うところが多いので、新年の厄除けや抱負を伝えるのと同時に参加してみてはいかがでしょうか。
1年を目処に新しい護摩札を迎えられればよいですが、熱心な人のなかには、参拝するたびに古いお札を納め、新たな1枚を受け取る人もいるそう。
初詣のほかに正五九詣りや秋詣、寺院のお祭りや縁日など、節目ごとに参拝し、護摩祈祷をお願いするということですね。護摩祈祷自体は毎日行っている寺院が多いので、自身がお参りしたいと思ったときに伺うことも可能です。
願いが成就したときの「御礼まいり」
受験や就職活動の合格祈願や心願成就、病身からの回復など、不動明王のご加護によって目標が成就、成功を成し遂げたときにはかならず御礼まいりに伺います。時期を問わず御礼まいりをして、その御札を納めるのがよいでしょう。
基本的に護摩札は、その御札を受けたところに納めるのが通例です。お札をいただいたときから授かったご加護に感謝し、境内の納札所へ古い御札を納めにいきましょう。お札は年中納められるようになっています。
このとき、新たに護摩祈祷に参加し、新しい護摩札を受け取ります。
御礼まいりでも感謝を忘れずに
不動明王にお願いごとをしたら、かならずその結果を報告するように心掛けましょう。
私たちの普段の生活を思い出してみてください。誰でも自分の家族や友人、会社の同僚や上司に願いごとや頼みごとをしますよね。そして、その願いを叶えてもらったときは、相手に感謝の気持ちをこめて「ありがとう」と言いますよね。
反対に自分が相手の願いを聞き入れたとき、それを「当たり前だ」とでも言うように、感謝一つしてもらえなかったら、少しモヤモヤした気持ちになると思います。
それは神様に対しても同じことなのです。ですから、願いがかなったときはかならず御礼まいりに行き、その感謝の気持ちを表すことが大切です。
護摩祈祷を積極的に行っている成田山川越別院では、願いごとが成就したときは成田山へ参詣して、不動明王に成就の報告と感謝をお伝えすることを推奨しているそうです。
返納された護摩札はどうなる?
願いが成就し、または役目を終え返納された護摩札は、僧侶がお炊き上げをして供養しています。この際、仏教用語で「撥遣(はっけん)」、つまりお迎えした仏様や菩薩様を送るための「御霊抜き」が行われます。
喪中のお詣りについて
家族や近親者が亡くなられた場合は、しばらくの間「喪中」と言ってお祝いごとには参加しないほうがよいとされていますよね。そこで喪に服している期間は、寺院への参拝もいけないと思っている人も多いのではないでしょうか。
しかし、護摩祈祷を行う成田山の言葉によると、「お詣りに喪中は関係ない」とのこと。安心して御礼まいりに伺えますね。
「喪」の習慣と不動明王について
近縁の者が亡くなられたときの喪に服する習慣というのには、「けがれや災いを周囲におよぼさないようにする」という意味があります。しかし、密教でお祀りしている不動明王は、その燃えさかる火炎をもって、私たちのあらゆるけがれや罪障、煩悩を焼き払い、清めてくださりますよね。
つまり、不動明王にお詣りすること、それそのものの行為が、私たちを清めていただいているのです。
成田山の言うことには、むしろ喪に服しているときこそ、亡くなられた人のご供養に、また家族の身を清めるために不動明王にお詣りくださいとのこと。身を清め、大切な人を失ってしまった悲しみを乗り越え、新たな充実した生活を迎えるためにも、不動明王のさらなるご加護をお願いされるのがよいのです。
御礼まいり同様に、初詣も喪中を気にする必要はありません。ぜひ、元旦に行われる護摩祈祷にも参加して、祈りを深め、護摩札を新たにいただくことをおすすめします。
ここまで、護摩札についての知識から実際に購入し祀り、最後は返納という一連の流れについて8日間に渡り解説してきました。いかがでしたでしょうか。連載に際して、私自身も様々書物などで調べ、初めて知ったこともたくさんありました。伝統文化や行事もただなんとなく、意味もわからず行うのでは無く、一つ一つの決まりごとの背景や意味を知ることで、気持ちのこもったものになるのでは無いでしょうか。
この記事を書いた人
DAISUKE YAJI
プロフィール
1999年3月 筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月 株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年 カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年 カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
2023年 ネットショップグランプリにて特別賞授賞
2024年 次世代コマース大賞にて大賞授賞
義父・義母・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
趣味はゴルフ、月1回はラウンドしています。
