使用済みの卒塔婆の処分は、2段回になります。お墓から回収する段階と、お墓から回収した使用済み卒塔婆を処分する段階です。それぞれの段階について、解説していきます。

お墓に建ててある卒塔婆の処分について

先ずは、お墓に建ててある卒塔婆の処分はどうすれば良いのでしょうか?2つのパターンがあります。一つは檀家さんが自ら処分する場合、もう一つはお寺側で処分する場合、現在見る限りはどちらの方法も半々くらいです。

使用済み卒塔婆の処分をめぐり、檀家とお寺間のトラブルも見受けられます。法要から1か月経過したらお寺で処分するといったルールを檀家とお寺との間で、あらかじめきめておく方が良いでしょう。

卒塔婆処分を巡る檀家とお寺のトラブル

以前ヤフー知恵袋にて、卒塔婆の回収をお寺でしてもらえず、住職に言ったら勝手に処分は出来ないと意見が食い違ったといった投稿がありました。

回答ではお寺側の主張が正しいという意見が多く見受けられました。このような問題は氷山の一角で、全国にも似たようなトラブルは多いのではないでしょうか。

お墓に建てた卒塔婆の所有権は?

弊社のお客様においても、卒塔婆の回収をお寺側で行うところと、施主側で行うところに分かれます。

卒塔婆は、お寺が檀家(施主)へ販売していることになるので、所有権は卒塔婆をお墓に建てた時点で檀家(施主)のものとなります。

所有権の定義はの全面的支配すなわち自由に使用・収益・処分する権利となっているので、処分する権利は檀家(施主)の方には有っても、お寺側には有りません。

所有権の観点から、檀家(施主)が管理費を支払っているとはいえ、檀家(施主)の所有物である卒塔婆をお寺で勝手に処分することはできません。

お寺にしてみれば、勝手に処分して、後々トラブルになるといったリスクもあります。

この問題の背景

問題は最初にお寺と檀家(施主)の間で、建てた卒塔婆はいつ・誰が回収してお焚きあげをするのかというルールを決めていなかったことだと思います。もしかすると、ルールがあったにもかかわらず、うまく伝わっていなかったのかも知れません。

お寺と檀家(施主)の信頼関係が日頃からできていれば、ルールを作るまでもなく、卒塔婆を渡す際に一言二言話しをすれば、済むことです。

最近では寺離れという言葉も出てきており、お寺と檀家との距離が離れてきていることを象徴しています。

とくに、実家を離れ都会で核家族として生活する世帯には、実家の菩提寺とは疎遠となる傾向があり、墓じまいをして田舎の菩提寺から、都会の霊園に移す人も多く、都会ではお墓が足りない、田舎では廃寺が増えてきているという現象が起きています。

これから更に進むであろう少子高齢化、人口減少に際して、手を打たなければこのまま寺離れは加速してしまいます。

お寺としても、この状況に甘んじているだけではありません。地域コミュニティーとしてお寺を活性化させるべく、様々な施策を行ところが増えて来ました。BBQ、ヨガ教室の開催や両親が共働き家庭の子供を預かって勉強を教えるなど、日頃から檀家との接点を積極的に持つようにすることで、お互いに信頼関係を構築し、問題を自分たちの力で乗り越えようとしています。

「卒塔婆屋さん」よみものでもお寺と檀家との付き合い方について記事を書いています。

【2022年最新版】 檀家減少時代を乗り切る檀家との付き合い方

【2022年最新版】経営が上手く行っているお寺が必ず行っている檀家との付き合い方3選!

お寺に卒塔婆の回収を頼む際の料金

多くのお寺では、お墓から卒塔婆を回収する費用は取っていません。一部のお寺では、お焚き上げ料を取っているところもあります。費用は概ね1,000円前後となります。

卒塔婆を檀家さん自ら処分する場合の時期はどのくらい

卒塔婆をもし、檀家自身で処分する場合、処分する時期について悩ましいところだと思います。

卒塔婆の功徳は一日と言われていますので、頻繁にお墓に来ることが難しい場合は、法要が終わったら処分してしまっても構いません。お墓に使用済み卒塔婆置き場があればそこに置き、無い場合は、持ち帰って一般ゴミとして処分しましょう。

一番良い処理方法は

処理方法に関して、檀家とお寺との合意はあらかじめしておくとして、どのように処理すれば良いのでしょうか。「卒塔婆屋さん」が考える最も良い方法は、お墓の入り口に、使用済み卒塔婆の回収箱を設けて、檀家さんにお墓参りの帰りにでもお墓から抜いてそこに入れてもらいます。お墓に定期的に来ることが難しい場合は、一定期間が過ぎたら、お寺で処分をするというのが良いと考えます。

檀家さんが持ち帰って処分する方法もありますが、自宅の敷地で燃やさずに、燃えるゴミとして処分するよう注意喚起は必要です。

お墓から回収した卒塔婆の処分について

お墓から引き上げるとこまでは前述した通りとなります。

続いては、お墓から引き上げた卒塔婆の処分についてはどうすれば良いのか解説します。

境内でのお焚き上げ

一番、簡単な方法として、昔からある宗教行事として境内でお焚き上げ(燃やす)をすることが考えられます。

しかし、近年では、お寺周辺の住宅の増加やダイオキシン類対策特別措置法・自治体条例により、野焼きは禁止されています。お寺の境内でのお焚き上げも禁止となりました。

例外として、どんと焼きなどの伝統・宗教行事にまつわるものを規定している自治体もあります。この場合も役所や消防への届け出が必要となります。また、日程も一年中燃やせるわけではありません。

焼却炉で燃やす

お寺で燃やしたいという場合には、法律で定められた構造基準に適合した焼却炉を使用すれば、焼却処分は可能です。卒塔婆専用の焼却炉もあります。いくつかご紹介します。

株式会社雅様 FREE185H型 (画像文章は株式会社雅ホームページより抜粋)

株式会社雅

寺院でフルサイズ1.8mの卒塔婆を、切らずにそのまま200本以上投入できる大容量焼却炉です。また、伐採した木や解体木くず等の長物の焼却にも便利にお使いいただけます。

1.8mの卒塔婆を200本切らずに投入
投入扉のみ開くこともできます。
焼却中です
伐採した木や、解体木くずの焼却にも活躍します。

【スペック】

焼却能力kg/h49
火床面積0.42
高さ×巾×奥行きmm4,000×1,600×1,600
燃焼室mm600(横)×700(奥行)×1,850(高さ)
(ご要望により変更可能です)
投入口 横×縦mm600×1,400(フルオープン時)
燃焼室容積0.78
送風機Vkw3相 200V 0.75kw
運転重量kg3,000

DAITO株式会社様 ISRⅡモデル(画像文章はDAITO株式会社様ホームページより抜粋)

DAITO株式会社

特徴

  1. 燃焼と集じんのバランスを最適化
    サイクロン内部形状の見直しにより、燃焼と集じんのバランスを最適化しました。
  2. 新型 屋外防水制御盤
    新型の屋外防水制御盤で視認性がアップしました。
  3. 大型投入口タイプ
    大きな投入口で大きな廃プラを投入可能です。

【スペック】

型式焼却能力※1火床面積一次燃焼室容積本体価格
Kg/hm2m3
ISRⅡ-500J29(12)0.490.47¥6,590,000-
  • ※1:焼却能力は、紙くず・木くずの発熱量16.7MJ(4,000kcal)/kg、( )内の数字は、廃プラスチック類の発熱量41.9MJ(10,000kcal)/kgをもとに算出しています。
  • ※表示価格は、消費税抜き価格です。
  • ※運賃取付費が別途かかります。
  • ※条例により、一部届出が必要な自治体もあります。

焼却炉はいつでも手軽に使用済み卒塔婆を燃やせる反面、適合基準を満たすため、高性能となり、かなり高額となります。また、設置場所も必要となります。お寺で焼却炉を設置する際は、自治体の基準を満たしているのか、容量は適切かなど、慎重に検討することをおすすめします。

廃棄物として業者に出す

卒塔婆をお寺で廃棄物として業者に出す場合について解説します。

結論としては使用済み卒塔婆も家庭ゴミ同様一般廃棄物(燃えるゴミ)となります。以下、その理由について説明します。

はじめにお断りをしておくと、罰当たりな気がしますが宗教的理由や精神的な面を除けば、使用済みの卒塔婆は廃棄物になります。

使用済み卒塔婆は産業廃棄物にならない理由

産業廃棄物として出したほうが、一般廃棄物(燃えるゴミ)で出すより手間は少なくて済みます。一般廃棄物(燃えるゴミ)ですと、指定のゴミ袋に入れる必要があり、使用済み卒塔婆を短くする必要があります。

しかし、使用済み卒塔婆をお寺で産業廃棄物として出すことはできません。

産業廃棄物処理法によると、お寺で出た使用済み卒塔婆は、一般廃棄物(燃えるゴミ)となり、私たち卒塔婆製造業者から出ると産業廃棄物となります。使用と製造を分ける考え方です。

分かりやすい例ですと、紙があります。一般家庭や一般企業から出た使用済みの紙は資源ゴミや燃えるゴミとして処分されます。製紙工場から出た紙は産業廃棄物となります。

一般ゴミと産業廃棄物は収集運搬ができる範囲が異なります。

以上の理由から、お寺で出た使用済みの卒塔婆は燃えるゴミとして、家庭ゴミ同様、指定のゴミ袋に入れて、収集日に出すというのが、唯一の方法となります。

業者側からすると産業廃棄物であれば、収集運搬の許可を都道府県知事の許可を貰えば、東京の廃棄物処理業者が神奈川県で産業廃棄物を引き取ることは可能です。しかし、一般廃棄物(燃えるゴミ)となると、自治体に拠点を持つ処理業者しか収集運搬ができません。自治体からの許可も必要で、すでに稼働している業者がありますので、新規に自治体内で一般廃棄物(燃えるゴミ)の収集運搬許可を得ることは難しいのが現状です。

人形供養と称して、古い人形やぬいぐるみを全国から募って、供養のあと処分をしている業者もあります。ホームページでも堂々とうたっているので、ものは言いようという側面もあります。

廃棄物によって収集運搬できる資格が違います。規制緩和されれば、卒塔婆回収専門の業者も増えてきてお寺にとっても利便性が高まりますが、今のところ、この様な動きは残念ながらありません。

業者に引き取ってもらう

使用済み卒塔婆は産業廃棄物ではなく、一般廃棄物(燃えるゴミ)というおはなしをしましたが、他の付帯サービスとして回収をしている場合はあります。

私たち卒塔婆製造業者は、自社で配達に行くお寺では、配達と一緒に、サービスでお寺から使用済み卒塔婆を回収し、自社で産廃業者に出しているところが多いです。

処分費は無料ではありませんので、その分のコストは配達料金や卒塔婆の価格に入れ込んでいると思います。弊社は配達料金に処分費用が含まれていることをあらかじめお客様に説明し、ご了承いただいております。

また、お寺も「志」や「飲み物代」という形で、お金を包んでくれるところもあります。

卒塔婆製造業者以外にも、寺社仏閣の清掃を専門とする業者もあり、清掃と同時に卒塔婆の回収を行っているところもあります。

業者は回収した使用済み卒塔婆は産業廃棄物として、大部分をリサイクルに回しています。弊社では、使用済み卒塔婆はバイオマス燃料の原材料、馬小屋などの敷材、パーティクルボードの原材料へリサイクルしています。

業者に引き取ってもらう際には、下記マナーを徹底すると業者とも良好な関係を築け、リサイクル率も高まります。

【業者に引き取ってもらう際のマナー】

  • 泥などはなるべく落とす
  • 濡れないようにしておく
  • できれば束にして結んでおく
  • 業者が持ち帰りやすい場所に置いておく

「卒塔婆屋さん」のSDGsへの具体的な取り組みと目標

まとめ

卒塔婆の処分方法に解説してきました。カーボンニュートラル、SDGsなど環境に配慮した流れが強くなって来ており、伝統的なお焚き上げといった風習は無くなりつつあります。世の中の流れとしては仕方がないことで、私たち卒塔婆製造業者も、ただ作って販売するのではなく、使用済みの卒塔婆をどう処分するか、最初から最後まで考えていかなくてはなりません。


この記事を書いた人

Daisuke Yaji

「卒塔婆屋さん」代表

プロフィール

1999年3月  筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月  株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年    カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年    カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
義父・義母・義妹・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
最近NVANを5年リースで手に入れたのでソロキャンプや車中泊に挑戦したい

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