日本で唯一のトレーラーバス青春号を購入しました!

「卒塔婆屋さん」の婿社長谷治と申します。
今回は、数々の困難を乗り越え、ついに青春号を手に入れることができました。
その物語をお話ししましょう。
青春号とは
青春号とは、日本でただ一つのトレーラーバスで、JR武蔵五日市線の武蔵五日市駅と日の出町のつるつる温泉を結ぶ路線バスでした。
私たちの会社の前を走る都道184号線もその運行ルートに含まれており、私にとっては青春号の姿が当たり前の風景となっていました。
しかし、老朽化や特注車両のため、部品の入手が困難なことなどから、青春号は惜しまれつつも3月末をもって引退することになりました。
引退セレモニーでは、最後の青春号を見ようと、全国から多くのファンが集まりました。
私にとっては当たり前だった存在が、こんなにも多くの人に愛されていたことに驚き、青春号の尊さを改めて感じさせられました。
後悔と希望
いざ、引退が決まり、見慣れた青春号が走っていない光景に、もう少し何か手助けできなかったのか、青春号を続ける力になれなかったのか、後悔の念が日々胸を締め付けました。
あんなに愛されてきた青春号が、スクラップとして終わってしまうのか、それともどこか遠くへ旅立つのか、考えれば考えるほど、青春号への想いが強くなっていきました。
そんな中、日の出町で青春号に新たな活躍の場を提供する人材を募集する情報が舞い込んできました。
日の出町、しかも青春号と共に日々過ごしてきた私にとって、この募集に応募しない選択肢など考えられませんでした。
一筋の光明が見えた瞬間でした。
この募集が、青春号に新たな息吹を与えるきっかけとなることを願いながら、私の想いを込めて応募させていただきました。
困難を極めた応募
公募への参加は夢の第一歩。だが、その道には即、山が立ちはだかりました。青春号の引き取り費用。老朽化しているその列車には、思いの外、高額なコストが掛かるのです。
「会社の経費で?」それは選択肢にも上がりません。全ては自費。クラウドファンディングへの逃げ道も時間的制約の中で閉ざされていました。だが、希望の光は消えてはいませんでした。なぜなら、この公募では金額だけでなく、青春号への情熱や具体的な活用方法も評価されるのです。
私は日の出町商工会青年部のOBとして、青春号を心から愛する2人の先輩へ助けを求めました。共に資金を出し合い、このチャンスをつかもうと提案しました。
その結果、先輩たちの暖かい同意を得て、「青春号を活用した町興し隊」という任意団体が誕生。
入札金額は、3人の小遣いを工面して作った60万円。
後に知ることとなるのですが、我々の入札金額は他の応募者よりも少額でした。
そして、次なる難関へ。事業計画書の提出。青年部時代、青春号を活用した経験はありますが、具体的なビジネス利用は初めて。アイディアは豊富でも、それを現実に結び付けるのは至難の業。維持費も視野に入れながら、収益を生む実行可能な計画が求められました。
熱い思いとともに、私たちは夜通し集まり、事業計画を練り上げました。提出期限直前、その計画が完成し、我々の挑戦が、真に始まったのです。
1次審査通過まで
1次審査では、私たちの熱意とビジョンが込められた事業計画書を役場へ緊張の手で提出しました。
書類審査は、口頭でのフォローが許されない状況。そのため、計画書の文字一つ一つが我々の夢を伝える大切なメッセージです。
事業の核心が審査員にすぐさま響かなければ、そこで夢は途絶えてしまいます。
計画書を何度も磨き上げ、自信を持って提出しましたが、それでも「伝わるだろうか」という一抹の不安が胸に残り、審査結果発表までの日々は期待と不安で心が揺れ動きました。
しかし、事業計画書提出から約2週間後、待望の1次審査通過の知らせが我々のもとへと届きました。
いざ2次審査へ
2次審査、それは舞台上での情熱溢れるプレゼンテーションの戦場でした。
1次審査を突破し、次なるステージへの期間中、私たちは事業のエッセンスを変えることなく、どう多くの心に届けるか、その戦略を練り直しました。良い計画は、認知されることで初めて輝くのです。
ネット通販での数々の経験が、この瞬間のための武器となりました。
直接審査員の目を見て、私たちの情熱を伝えるこの2次審査に、私は確信を持って望んでいました。
当日、舞台上でのプレゼンテーションは滞りなく進み、最終的に審査員からの鋭い質問に対峙しました。それは、事業の実現性や集客戦略に関するものでした。
私たちの答えはシンプル。SNSを駆使して、青春号の魅力を世に広める。その理由は明白で、青春号には独特の魅力と既に存在する熱狂的なファンがいるから。一枚の写真、そしてその魅力にファンが触れれば、SNS上での拡散は雪だるま式に。この特性は、私がネット通販で経験してきたことと共通しています。大衆を追うより、一部の熱心なファンに焦点を当て、そのエネルギーに支えられる。彼らはただのファンではなく、私たちの事業の仲間でもあるのです。
最終審査発表
プレゼンテーションの後、私たちの胸の内には自信が溢れていました。その内容に自信を持っていたため、「これが通らないなら、日の出町の審査眼を疑ってしまう」とさえ感じていました。
しかし、入札金額だけは心の隅に残る小さな影として存在していました。明らかに、60万円という金額は一般的な感覚からすると低い。きっと町の側も驚かれるでしょう。
最終プレゼンの1週間後、心待ちにしていた決定通知が遂に私たちのもとへと届いたのです。
決定後
決定の瞬間から私たちは待っていられませんでした。FaceBook、Instagram、X(旧Twitter)、TikTokをはじめとするSNSアカウントを即座に設立し、同時にダイナミックなホームページも立ち上げました。
デジタルの世界では初動のスピードが命。完成度を追求する前に、まずは情報の発信が重要です。この分野での経験豊富な「卒塔婆屋さん」の運営ノウハウが、ここで大きく役立っています。
SNSの影響力は予想以上。驚くべきことに、私たちの情報はすでに10万人以上の目に触れています。特にX(旧Twitter)では、当初はひっそりとしていた投稿が、有名なバスマニア界のインフルエンサーに拾われるや、まるで火花のように急速に拡散。その驚異的なスピードには、正直なところ驚きと興奮の入り混じった気持ちになりました。
現時点では、まだ車両の受け渡しを待っている段階ですが、すでに「絶対にそのイベントに参加したい!」や「早く車両を見てみたい!」との熱烈な声が多数届いています。この期待を胸に、最高のサービスを提供し続けることを誓います。

この記事を書いた人
DAISUKE YAJI
プロフィール
1999年3月 筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月 株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年 カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年 カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
2023年 ネットショップグランプリにて特別賞授賞
2024年 次世代コマース大賞にて大賞授賞
義父・義母・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
趣味はゴルフ、月1回はラウンドしています。
