創業明治十五年 卒塔婆・角塔婆・墓標・経木塔婆 「卒塔婆屋さん」本店

スクリーン印刷

卒塔婆への主な2つの印刷方法

最近では、利便性から卒塔婆を手書きから印刷へ変えている寺院も増えてきました。卒塔婆へ印刷することに賛否両論があることは承知しております。

卒塔婆への印刷の是非は一旦置いておくとして、今回は、卒塔婆への主な印刷方法2つについてお話しします。

一つ目の方法は、白木の卒塔婆に各寺院で印刷する卒塔婆プリンターを使用する方法です。2つ目は私たち卒塔婆製造業者が、お題目など共通部分をスクリーン印刷した卒塔婆を納品する場合です。

それぞれにメリットとデメリットが存在し、どちらが優れているとは一概には言えません。それでは、それぞれの印刷方法について解説していきます。

卒塔婆プリンターとは

卒塔婆プリンターとは、主に寺院様にて印刷ができるプリンターとなります。原版作成も要らず、PCデータ作成をして、そのまま印刷ができます。

卒塔婆プリンターの種類

卒塔婆プリンターは、インクジェットプリンターとUVプリンターの2種類があります。それぞれに特徴が異なります。

インクジェットプリンタ

卒塔婆プリンターといえばインクジェットプリンターが有名です。メーカーも数社あり、ほとんどのメーカーで、水性顔料インクを採用しています。顔料インクは印刷物の表面に定着するのに対し、染料インクは印刷物に染み込むといった違いがあります。

メリットは顔料インクは染料インクに比べ、文字をよりくっきりと鮮やかに印刷でき、かつ耐光性、耐水性、保存性に優れています。一方、印刷スピードは染料インクよりも遅く染料インクに比べ値段が高くなるといったデメリットがあります。

卒塔婆に印刷することを考えるとメリットの方が大きいので、卒塔婆プリンターでは水性顔料インクが採用されています。

株式会社TNT様 おとば用人シリーズ

卒塔婆プリンターの中では、導入している寺院が全国500箇所と非常に多く、草分け的存在です。

卒塔婆プリンターの中でもコンパクトな設計で場所を取りません。コンパクトな設計ゆえ、1回で印刷できる長さが4尺までとなっており、それより長い卒塔婆の場合、上下分けて印刷する必要があります。幅も100㎜までなので実質1本しか印刷できません。

【スペック】

型番印刷対象印刷可能サイズ価格大きさ
OT-15001卒塔婆長さ:30cm(1尺)~120cm(4尺)
※4尺以上の長尺塔婆も印刷可能です。
幅 :65~100mm
厚み:7~9mm
85万円
(税込:93万5千円)
幅 :470㎜
奥行:450㎜
高さ:230㎜

おとば用人の詳細はこちら

newminde様 卒塔婆プリンター

特徴としては、通常の卒塔婆サイズであれば、それぞれ異なった内容で、最大6本まで同時印刷可能です。長さ6尺卒塔婆まで印刷できますので、お寺で使用される卒塔婆のほぼすべての長さに対応しています。更に上位グレードでは7尺卒塔婆まで印刷可能となります。

【スペック】

印字方式バリアブルドットインクジェット方式(オンデマンドピエゾ)
セット可能塔婆サイズ2尺~6尺
セット可能厚さ最大三分(9.1mm)※1
セット最大可能塔婆数6種類
水性顔料インク黒単色またはカラー4色
インク容量 (購入時に選択)カートリッジタイプ (110ミリリットル)/ボトルタイプ (250ミリリットル)
専用下地剤500ミリリットルボトル
作画解像度360dpi、720dpi、1,440dpi、2,880dpi ※2
印字精度±0.25mmまたは±0.1%のいずれか大きい方
メモリ256MB
電源AC100~120V±10%、50/60Hz±1Hz
インターフェースEthernet10/100BASE-TX/USB
外径寸法 (幅x奥x高)使用時:1,192×1,250x978mm 収納時:1,192x662x978mm
本体重量約46Kg
※1 7mm以下のものは別途搬送用スペーサーを使用する事で印刷可能。 
※2(参考)印刷速度:4尺塔婆 約1分30秒 (720dpix720dpi 2パス)

newminde様卒塔婆プリンターの詳細はこちら

日本デジタルグラフィック株式会社様 MMP-R13T(塔婆印刷プリンタ)

最大の特徴は、卒塔婆を固定して、プリンタヘッダ部分が上下に動くところです。細長い卒塔婆でも印刷時のブレを防ぎ、より正確な印刷が可能です。卒塔婆は4本同時に印刷可能で、長さも6尺まで対応していほか、厚みが最大80㎜までの印刷物に対応しているので、卒塔婆以外にも印刷用途を広げられます。台座部分があるため、プリンタヘッド部分だけの他2つと比べて、場所を取ります。

【スペック】

印刷方式ピエゾインクジェット方式 
インク 水性顔料インク 
インク供給方式 各色独立インクボトル 
インターフェース USB2.0 
印刷素材厚 最大80mmまで 
印刷幅 329mm 
印刷長さ 位牌から6尺塔婆まで 
印刷駆動機構 ヘッドムービング機構 
高さ調整機構電動テーブル昇降機構 
重量 約100kg 
外形寸法 690mm(W)×2370mm(D)×490mm(H) 
推奨OSWindows7以降 

日本デジタルグラフィック株式会社様MMP-R13T(塔婆印刷プリンタ)の詳細はこちら

UVプリンター

UVプリンターとは、紫外線を照射させることで硬化するUVインクを使用したプリンターの総称です。

インクの種類が異なるだけで、印刷方法はインクジェットプリンターと同じ原理になっています。UVプリンターに使われるインクは、インク内のUV硬化樹脂が紫外線にあたると、ラジカル重合により、瞬時にインクを硬化・定着させます。印刷後に、乾燥する必要がなく、ゴルボールの様な丸いものやガラスなどにも印刷可能です。

卒塔婆のプリンターとしては、新しいタイプのもので、現段階では卒塔婆にUVプリンターで印刷をしている事例は聞いたことがありません。

印刷した文字が樹脂っぽく、乾燥によりひび割れを起こしやすい、UVインクが高価で印刷コストが高くなるなどの課題があります。

すでに木札や絵馬の印刷には使われていますので、今後、この課題が克服できれば、広まっていく可能性は十分にあります。

アルマーク株式会社様 UV卒塔婆プリンター

アルマーク株式会社UV卒塔婆プリンター

卒塔婆プリンターのメリット

卒塔婆プリンターのメリットは何と行っても、スクリーン印刷のように原版作成というプロセスを経ずに、パソコンがあれば、専用ソフトからぐに印刷できる点にあります。共通部分だけではなく、戒名や施主名をそれぞれ変更して印刷することも可能です。原版を作成するコストもかかりません。

卒塔婆プリンターのデメリット

印刷をするのに非常に時間がかかります。印刷内容をデータ化するなど、ある程度パソコンの操作スキルが必要となります。印刷位置のズレや誤字脱字による無駄も生じる可能性があります。

本数によっては、インク代を考えると版代のコストの方が安価になる場合も考えられます。

卒塔婆プリンターでの印刷が向いているお寺とは

卒塔婆の使用本数が少なく、パソコンを使い慣れていて、初期コストを抑えたい方に向いています。

スクリーン印刷とは

スクリーン印刷は卒塔婆製造業の多くが、採用している方法となります。弊社もスクリーン印刷となります。

アルミフレームに文字の部分だけインクが浸透できる細かいメッシュになっているスクリーンを貼ります。アルミフレームにスクリーンを貼った状態のものを印刷原版と呼びます。

専用の印刷機に印刷原版をセットし、その下に卒塔婆や木札など印刷物を入れます。印刷物に、印刷原版を押し付け、枠内にインクを入れたら、スキージーと呼ばれるゴムヘラを印刷原版の上面を押し付けながら移動させます。インクは膜のないメッシュ部分を浸透して、下の印刷物上に押し出されて印刷が行われます。

特徴としては、印刷がとても自然で、手書き文字をそのまま版にすることで、手書きで書いた卒塔婆と見分けが付きません。

スクリーン印刷のメリット

スクリーン印刷のメリットはスピードにあります。私たち卒塔婆製造業者がスクリーン印刷を採用している理由は印刷スピードにあります。弊社では一日に最大5,000本程度印刷可能です。インクジェットプリンターでは、おそらく1週間使っても無理な数量です。

お寺にとって最大のメリットは、私たち卒塔婆製造業者に一任できるところです。一回版を作ってしまえば、お彼岸・施餓鬼会・法事など印刷内容を伝えるだけで、印刷されたものが納品されます。印刷ミスによる無駄もありません。原版作成にかかるコストも初回のみなので、長い目で見ると十分コストも吸収できます。

スクリーン印刷のデメリット

印刷を初めて依頼する際に、印刷原版作成費が10,000~20,000円ほどかかります。文字の位置や内容を変更する際も新たに原版作成をする必要があり、改めて費用がかかります。

印刷内容に応じて、印刷原版が必要となるため、戒名や施主名など異なる内容を印刷することは現実的ではなく、お題目などの共通部分の印刷のみという使い方となります。戒名や施主名などは、都度お寺で手書きしていただく必要があります。

「卒塔婆屋さん」のスクリーン印刷についてはこちら

こんなお寺にはスクリーン印刷が向いている

卒塔婆の使用本数が多く、簡単に印刷を依頼したいお寺

まとめ

印刷の種類について解説しました。卒塔婆プリンター、スクリーン印刷双方にそれぞれ、メリット・デメリットが存在し、お寺の規模や使い方によって選んでいただければ良いかと思います。

スクリーン印刷を業者に依頼しているお寺のほうが多いと感じます。卒塔婆プリンターがスクリーン印刷並の速度で印刷できるようになれば、今後は更に普及していくと思います。


この記事を書いた人


Daisuke Yaji

「卒塔婆屋さん」代表

プロフィール

1999年3月  筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月  株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年    カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年    カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
義父・義母・義妹・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
最近NVANを5年リースで手に入れたのでソロキャンプや車中泊に挑戦したい

Profile Picture

おすすめサービス

よみもの

公式YouTube

詳しく見る

 

公式Instagram

 

代表あいさつ

はじめまして「卒塔婆屋さん」代表の谷治と申します。
「卒塔婆屋さん」にお越しいただき誠にありがとうございます。
お客様との奇跡的なご縁に感謝し、誠心誠意対応いたします。

私の経歴

私は、もともと日の出町とは縁もゆかりもなく、大学卒業後都内でサラリーマンをしていました。
実は、生まれも育ちも同じ東京都なのですが、日の出町を知りませんでした。
日の出町の方ごめんなさい。
結婚を期に、妻の実家に婿として入りました。
...続きを読む

営業カレンダー

所在地


「卒塔婆屋さん」本社 (有限会社 谷治新太郎商店)
〒190-0181 東京都 西多摩郡 日の出町 大久野 3318


弊社本社・工場のある日の出町は、東京都にありながら自然が豊かで、春には桜並木、夏にはバーベキュー、秋には紅葉狩り、冬にはクリスマスイルミネーションに近県より多くの人たちがやって来ます。
もともと日の出の山々にはもみの木が自生しており、この木を使って卒塔婆を作り、江戸の寺院に納めていたことから、日の出町の卒塔婆製造におけるシェアは全国の6~7割ほどとなっています。

超詳しい卒塔婆のおはなし~その10~卒塔婆のまち日の出町

LINEで相談
LINEで相談