【プロが比較】卒塔婆の印刷方法2選!卒塔婆プリンターとスクリーン印刷のメリット・デメリット、選び方を徹底解説

スクリーン印刷

近年、寺院運営の効率化や人員不足、住職様の高齢化などを背景に、「卒塔婆(そとうば)の手書きから印刷への切り替え」を検討される寺院様が非常に増えています。

「毎回の筆耕作業が大きな負担になっている」「檀家様にお出しする以上、印刷でも安っぽくならない美しい仕上がりにしたい」とお悩みではないでしょうか。

卒塔婆への印刷については様々なご意見がありますが、持続可能な寺院運営を進める上で、印刷は今や有力な選択肢の一つです。今回は、卒塔婆の主な印刷手法である「卒塔婆プリンター」と「スクリーン印刷」の2つについて、それぞれの特徴やメリット・デメリットをプロの視点から包み隠さずお話しします。

この記事を読めば、以下のことが分かります。

  • 寺院向け「卒塔婆プリンター(インクジェット・UV)」の代表的な製品スペックと特徴
  • 卒塔婆製造業者が採用する「スクリーン印刷」の仕組みと、手書きに見劣りしないクオリティの秘密
  • 年間の使用本数やパソコンの習熟度に応じた、自院に最適な印刷方法の選び方

1.卒塔婆への主な2つの印刷方法

卒塔婆に文字を印刷する方法は、大きく分けて次の2つが存在します。

  1. 卒塔婆プリンター:寺院に専用機器を導入し、白木の卒塔婆にその場で1本ずつ印刷する方法
  2. スクリーン印刷:私たち卒塔婆製造業者が、お題目などの共通部分を事前に印刷して納品する方法

それぞれに明確なメリットとデメリットがあり、「どちらが絶対に優れている」と言い切れるものではありません。まずはそれぞれの詳細を解説していきます。

2.卒塔婆プリンター(インクジェット・UV)の特徴

卒塔婆プリンターとは、主に寺院様が自坊で印刷を行うための専用プリンターです。原版(版)を作る必要がなく、パソコンで作成したデータをそのまま白木に直接印刷できるのが特徴です。

卒塔婆プリンターには、大きく分けて「インクジェットプリンター」「UVプリンター」の2種類があります。

インクジェットプリンター

卒塔婆プリンターとして現在最も広く普及しているタイプです。ほとんどのメーカーで「水性顔料インク」が採用されています。

【豆知識】顔料インクと染料インクの違い

  • 顔料インク:木材の表面にインクが定着するため、文字がくっきりと鮮やかに印刷でき、耐光性・耐水性・保存性に優れている(屋外に立つ卒塔婆に最適)。
  • 染料インク:繊維に染み込むタイプ。顔料に比べて印刷スピードは速く安価だが、耐水性・耐光性で劣る。

卒塔婆の用途を考えると「顔料インク」のメリットが圧倒的に大きいため、専用プリンターでは標準仕様となっています。以下に、現在市場で知名度の高い3つの製品スペックをまとめました。

1.株式会社TNT様 おとば用人シリーズ

卒塔婆プリンターの中では、導入している寺院が全国500箇所と非常に多く、草分け的存在です。

卒塔婆プリンターの中でもコンパクトな設計で場所を取りません。コンパクトな設計ゆえ、1回で印刷できる長さが4尺までとなっており、それより長い卒塔婆の場合、上下分けて印刷する必要があります。幅も100㎜までなので実質1本しか印刷できません。

【スペック】

型番印刷対象印刷可能サイズ価格大きさ
OT-15001卒塔婆長さ:30cm(1尺)~120cm(4尺)
※4尺以上の長尺塔婆も印刷可能です。
幅 :65~100mm
厚み:7~9mm
85万円
(税込:93万5千円)
幅 :470㎜
奥行:450㎜
高さ:230㎜

おとば用人の詳細はこちら

2.newminde様 卒塔婆プリンター

特徴としては、通常の卒塔婆サイズであれば、それぞれ異なった内容で、最大6本まで同時印刷可能です。長さ6尺卒塔婆まで印刷できますので、お寺で使用される卒塔婆のほぼすべての長さに対応しています。更に上位グレードでは7尺卒塔婆まで印刷可能となります。

【スペック】

印字方式バリアブルドットインクジェット方式(オンデマンドピエゾ)
セット可能塔婆サイズ2尺~6尺
セット可能厚さ最大三分(9.1mm)※1
セット最大可能塔婆数6種類
水性顔料インク黒単色またはカラー4色
インク容量 (購入時に選択)カートリッジタイプ (110ミリリットル)/ボトルタイプ (250ミリリットル)
専用下地剤500ミリリットルボトル
作画解像度360dpi、720dpi、1,440dpi、2,880dpi ※2
印字精度±0.25mmまたは±0.1%のいずれか大きい方
メモリ256MB
電源AC100~120V±10%、50/60Hz±1Hz
インターフェースEthernet10/100BASE-TX/USB
外径寸法 (幅x奥x高)使用時:1,192×1,250x978mm 収納時:1,192x662x978mm
本体重量約46Kg
※1 7mm以下のものは別途搬送用スペーサーを使用する事で印刷可能。 
※2(参考)印刷速度:4尺塔婆 約1分30秒 (720dpix720dpi 2パス)

newminde様卒塔婆プリンターの詳細はこちら

3.日本デジタルグラフィック株式会社様 MMP-R13T(塔婆印刷プリンタ)

最大の特徴は、卒塔婆を固定して、プリンタヘッダ部分が上下に動くところです。細長い卒塔婆でも印刷時のブレを防ぎ、より正確な印刷が可能です。卒塔婆は4本同時に印刷可能で、長さも6尺まで対応していほか、厚みが最大80㎜までの印刷物に対応しているので、卒塔婆以外にも印刷用途を広げられます。台座部分があるため、プリンタヘッド部分だけの他2つと比べて、場所を取ります。

【スペック】

印刷方式ピエゾインクジェット方式 
インク 水性顔料インク 
インク供給方式 各色独立インクボトル 
インターフェース USB2.0 
印刷素材厚 最大80mmまで 
印刷幅 329mm 
印刷長さ 位牌から6尺塔婆まで 
印刷駆動機構 ヘッドムービング機構 
高さ調整機構電動テーブル昇降機構 
重量 約100kg 
外形寸法 690mm(W)×2370mm(D)×490mm(H) 
推奨OSWindows7以降 

日本デジタルグラフィック株式会社様MMP-R13T(塔婆印刷プリンタ)の詳細はこちら

UVプリンター

紫外線を照射することで、瞬時にインクを硬化・定着させる「UVインク」を使用したプリンターです。 木札や絵馬、さらにはゴルフボールのような丸い立体物にも乾燥なしで印刷できるため、すでに木工印刷の現場では活用されています。

しかし、現段階では卒塔婆専用としての普及事例はほとんど耳にしません。 その理由として、「印刷した文字の質感が樹脂っぽく(テカテカして)不自然に見える」「木材の乾燥や伸縮によって文字にひび割れが起きやすい」「UVインク自体が高価で、1本あたりの印刷コストが跳ね上がる」といった課題があるためです。今後これらの課題が克服されれば、選択肢に入ってくる可能性があります。

アルマーク株式会社様 UV卒塔婆プリンター

アルマーク株式会社UV卒塔婆プリンター

卒塔婆プリンター導入のメリット・デメリット

  • 〇 メリット
    • 完全内製化:パソコンさえあれば、戒名や施主名など「1本ずつ異なる内容」をその場ですぐに印刷できる。
    • 製版コスト不要:スクリーン印刷のような「印刷原版(版代)」の初期費用がかからない。
  • × デメリット
    • 時間がかかる:お盆や彼岸など、一度に何百本も必要な時期は、印刷中つきっきりになり時間が奪われる。
    • PCスキルが必須:専用ソフトへのデータ入力、印刷位置の微調整など、ある程度のITスキルが必要。
    • コストとリスク:インク代(ランニングコスト)が高め。また、セットミスによる誤字やズレによる「白木のロス」が発生するリスクがある。

💡 卒塔婆プリンターが向いているお寺

  • 年間の卒塔婆の使用本数が比較的少ない(小規模〜中規模の寺院様)
  • パソコン操作に慣れている職員や住職様がいる
  • 戒名や施主名まで、すべてを機械印刷で完結させたい

3.スクリーン印刷の特徴(製造業者の専門技術)

スクリーン印刷は、私たち「卒塔婆屋さん」をはじめ、多くの卒塔婆製造業者が採用している伝統的かつ効率的な印刷手法です。

文字の部分だけインクが通るように処理された細かいメッシュ(スクリーン)をアルミフレームに張った「印刷原版」を作成し、専用の印刷機にセットして、上から「スキージー」と呼ばれるゴムヘラでインクを押し出して白木に定着させます。

手書きと見分けがつかない圧倒的なクオリティ

最大の特徴は、「住職様が書かれた手書きの筆文字を、そのままの風合いで版にできる」点です。インクが木になじむため、仕上がりが非常に自然です。パッと見では手書きの卒塔婆と見分けがつかないほどの品格を保てるため、檀家様へのお渡しにも一切の引け目を覚えません。

スクリーン印刷のメリット・デメリット

  • 〇 メリット
    • 圧倒的な印刷スピード:熟練の職人が行うスクリーン印刷は極めて迅速です。弊社では1日に最大5,000本程度の印刷が可能。インクジェットプリンターでは1週間かかっても不可能な数量を即座に仕上げます。
    • 寺院側の負担・リスクがゼロ:お彼岸や施餓鬼会などの際、必要な本数と内容を伝えるだけで、プロが検品まで終えた美しい状態の卒塔婆が届きます。印刷ミスによるロスや、機械のメンテナンスに悩まされることもありません。
    • 高いコストパフォーマンス:初期の版代さえ払えば、同じ内容(お題目など)を大量に印刷する場合の「1本あたりのコスト」はプリンターに比べて非常に安価になります。
  • × デメリット
    • 初回の製版費用がかかる:初めてのご依頼時、印刷原版の作成費(約10,000〜20,000円)が必要です。文字の配置などを大きく変更する場合も、再度作り直しとなります。
    • 個別文字の印刷には不向き:1本ごとに内容が変わる「戒名」や「施主名」をすべてスクリーン印刷するのは、現実的ではありません。そのため、「お題目などの共通部分」を弊社で美しく印刷し、個別名のみを寺院様で手書き(または筆耕)していただく形が一般的です。

💡 スクリーン印刷が向いているお寺

  • 年間の卒塔婆の使用本数が多い(お盆や彼岸で大量に消費される寺院様)
  • 印刷の段取り、機械の目詰まり、誤字などのストレスから一切解放されたい
  • 伝統的な筆文字の風合いや、卒塔婆としての美しさを大切にしたい
  • ➔ [「卒塔婆屋さん」の高品質なスクリーン印刷について詳しく見る]

「卒塔婆屋さん」のスクリーン印刷についてはこちら

4. まとめ

卒塔婆の2つの印刷方法について比較しました。

  • 手軽に個別名まで印刷したい少部数のお寺卒塔婆プリンター
  • 大量の卒塔婆を手間なく、伝統的な美しさで仕上げたいお寺スクリーン印刷(業者委託)

現在も多くの寺院様が、安心感とスピード、そして仕上がりの美しさから「業者へのスクリーン印刷依頼」を選択されています。今後プリンターの速度やコストが改善されればさらに普及は進むと考えられますが、現時点では「共通部分(お題目など)をプロに美しく印刷してもらい、個別名だけを自坊で手書きする」スタイルが、最も時間効率と品格を両立できる方法として選ばれています。

「自院の場合はどちらがトータルで安くなる?」「今の卒塔婆の文字をそのまま版にできる?」など、卒塔婆の印刷に関するご相談や、お見積もりのご依頼は、ぜひお気軽に「卒塔婆屋さん」までお問い合わせください。

5. 卒塔婆の印刷に関するよくある質問(FAQ)

Q1. 卒塔婆プリンターのインクは、雨で滲んだり消えたりしませんか?

A1. 多くの卒塔婆プリンターで採用されている「水性顔料インク」は、優れた耐水性と耐光性を持っています。そのため、屋外で通常の雨や直射日光にさらされても、すぐに文字が滲んだり消えたりすることはありません。ただし、木材自体の経年劣化やアクによって、長期的には見えづらくなっていくことはあります。

Q2. スクリーン印刷を頼む場合、今お寺で使っている手書きの文字をそのまま版にできますか?

A2. はい、完全に再現可能です。現在住職様がお書きになっている卒塔婆(または紙に書いた文字)をお送りいただくか、高画質でスキャンしたデータをご提供いただければ、その筆跡を忠実に再現した「自院専用の印刷原版」をお作りいたします。

Q3. 卒塔婆を印刷に切り替える際、檀家様から反対意見が出ることはありませんか?

A3. 事前に「供養の質を落とさず、より多くの時間を檀家様との対話や法要の準備に充てるための効率化である」と丁寧にご説明される住職様が多いです。また、弊社のスクリーン印刷であれば手書きと遜色ない自然な仕上がりのため、切り替えたことに気づかない、あるいは違和感を持たれる檀家様は非常に少ないのが実情です。

この記事を書いた人

DAISUKE YAJI 

谷治大典

代表取締役

プロフィール

1999年3月  筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月  株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年    カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年    カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
2023年   ネットショップグランプリにて特別賞授賞
2024年   次世代コマース大賞にて大賞授賞
義父・義母・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
趣味はゴルフ、月1回はラウンドしています。
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