お焚き上げができない!使用済みの卒塔婆はどう処分すればよいのか?処分方法について解説

法要の際にお墓に立てる「卒塔婆(そとうば)」。役割を終えた使用済みの卒塔婆をどのように処分すればよいか、迷ったことはありませんか? 「お寺にお任せしていいの?」「自分で持ち帰って処分すべき?」といった疑問や、それに伴うお寺と檀家(施主)間のトラブルも少なくありません。

また、お寺側にとっても、近年の環境規制により「境内でお焚き上げができない」という深刻な悩みに直面しています。

この記事を読めば、以下のことが分かります。

  • お墓にある卒塔婆の適切な処分方法と、よくあるトラブルの解決策
  • 卒塔婆の「所有権」が誰にあるのかという法的・明確な基準
  • 【寺院向け】法律に準拠した焼却炉での処分方法や、廃棄物(一般廃棄物)として出す際の注意点
  • 卒塔婆製造業者による回収・リサイクルへの取り組み

1.お墓に建ててある卒塔婆の処分方法

使用済みの卒塔婆の処分は、大きく分けると「お墓から卒塔婆を回収する段階」と、「回収した卒塔婆を適切に処分する段階」の2つのプロセスを経る必要があります。

まず、お墓に建ててある卒塔婆を誰が回収・処分するのかについて考えてみましょう。処分方法には主に2つのパターンがあります。

  1. 檀家(施主)自らが回収・処分する場合
  2. お寺側が回収・処分を行う場合

現在のところ、どちらの方法もおおよそ半々の割合で行われているようです。

卒塔婆処分を巡るトラブルと「所有権」の所在

使用済み卒塔婆の処分に関しては、檀家とお寺の間でトラブルが発生することもあります。

以前、大手お悩み相談サイトにて「卒塔婆の回収をお寺でしてもらえず住職に相談したところ、『勝手に処分はできない』と言われ意見の食い違いがあった」という投稿がありました。この問題は氷山の一角であり、全国的にも似たようなトラブルが多く発生しています。

なぜこのようなトラブルが起きるのでしょうか。その原因は「卒塔婆の所有権」にあります。

卒塔婆の所有権はどこにある? 卒塔婆は、お寺が檀家(施主)に販売しているものであり、所有権は卒塔婆をお墓に建てた時点で檀家(施主)のものとなります。 所有権の定義は「物の全面的支配、すなわち自由に使用・収益・処分する権利」です。したがって、卒塔婆の処分権は檀家にあり、お寺側にはありません。

お寺側からすれば、「勝手に処分して、後々トラブルになると困る」というリスクがあるため、独断での処分を控えるケースがあるのです。トラブルを未然に防ぐためには、「法要から1か月が経過した後にお寺で処分する」といったルールを、事前に双方で共有しておくことが重要です。

信頼関係の構築とお寺の新しい取り組み

最近では「寺離れ」や核家族化が進み、お寺と檀家の関係が疎遠になりつつあります。実家の菩提寺と疎遠になり、墓じまいをして都会の霊園に移す人も増えています。

こうした中、お寺も状況を放置しているわけではありません。地域コミュニティーとしてお寺を活性化させるために、BBQやヨガ教室の開催、共働き家庭の子供たちの学習支援など、日常的な接点を増やして信頼関係を築く取り組みが進められています。信頼関係があれば、卒塔婆を渡す際の一言でルールを共有し、トラブルを防ぐことができます。

【檀家向け】自ら処分する場合の時期と方法

お寺に卒塔婆の回収を頼む際、多くのお寺では費用を請求していませんが、一部のお寺では「お焚き上げ料(供養料)」として1,000円前後を請求するところもあります。具体的な料金は事前にお寺へ確認しましょう。

檀家自身で処分する場合、その時期について悩むことが多いでしょう。卒塔婆の功徳は一日(建てたその日)とも言われているため、法要が終わった後すぐに処分しても宗教上問題ありません。

  • 霊園にお墓がある場合: 使用済み卒塔婆置き場が設置されている場合はそこへ置く。
  • 置き場がない・持ち帰る場合: 自宅に持ち帰り、「可燃ゴミ(燃えるゴミ)」として処分します。 ※注意:自宅の敷地内で庭焼き(野焼き)することは法律で禁止されているため、絶対に避けましょう。

最も理想的な方法は、お墓の入り口に使用済み卒塔婆の回収箱を設置し、お墓参りの際に檀家自身で抜いて入れてもらう仕組みを作ることです。頻繁にお墓に来られない場合は、一定期間が過ぎた後にお寺で処分してもらうのが最も合理的です。

2.【寺院向け】お墓から回収した卒塔婆の適切な処分方法

ここからは、お墓から回収された、あるいは預かった卒塔婆を「どのように処分するか」という、主にお寺側の視点に立った解決策を解説します。

1. 境内での「お焚き上げ」は原則禁止

伝統的な宗教行事として境内でお焚き上げ(焼却)をしたいところですが、近年では近隣住宅の増加や「ダイオキシン類対策特別措置法」、自治体の条例により、野焼きは原則禁止されています。 一部の地域では「どんと焼き」などの伝統行事として例外が認められるケースもありますが、役所や消防への届け出が必要となり、日程も限られるため、日常的な処分には向いていません。

2. 法的基準を満たした「焼却炉」の設置

法律で定められた構造基準に適合した焼却炉を使用すれば、安全かつ合法的に境内で焼却処分が可能です。現在は卒塔婆専用の高性能な焼却炉が販売されています。

代表的な寺院用焼却炉のスペック

株式会社雅様 FREE185H型 (画像文章は株式会社雅ホームページより抜粋)

株式会社雅

寺院でフルサイズ1.8mの卒塔婆を、切らずにそのまま200本以上投入できる大容量焼却炉です。また、伐採した木や解体木くず等の長物の焼却にも便利にお使いいただけます。

【スペック】

焼却能力kg/h49
火床面積0.42
高さ×巾×奥行きmm4,000×1,600×1,600
燃焼室mm600(横)×700(奥行)×1,850(高さ)
(ご要望により変更可能です)
投入口 横×縦mm600×1,400(フルオープン時)
燃焼室容積0.78
送風機Vkw3相 200V 0.75kw
運転重量kg3,000

DAITO株式会社様 ISRⅡモデル(画像文章はDAITO株式会社様ホームページより抜粋)

DAITO株式会社

特徴

  1. 燃焼と集じんのバランスを最適化
    サイクロン内部形状の見直しにより、燃焼と集じんのバランスを最適化しました。
  2. 新型 屋外防水制御盤
    新型の屋外防水制御盤で視認性がアップしました。
  3. 大型投入口タイプ
    大きな投入口で大きな廃プラを投入可能です。

【スペック】

型式焼却能力※1火床面積一次燃焼室容積本体価格
Kg/hm2m3
ISRⅡ-500J29(12)0.490.47¥6,590,000-
  • ※1:焼却能力は、紙くず・木くずの発熱量16.7MJ(4,000kcal)/kg、( )内の数字は、廃プラスチック類の発熱量41.9MJ(10,000kcal)/kgをもとに算出しています。
  • ※表示価格は、消費税抜き価格です。
  • ※運賃取付費が別途かかります。
  • ※条例により、一部届出が必要な自治体もあります。

※焼却能力は対象物の発熱量により異なります。また、条例により届出が必要な自治体もあります。

焼却炉は手軽に処分できるメリットがありますが、設備が非常に高額であり、適切な設置スペースや定期的なメンテナンス費用(維持管理費)が必要です。また、稼働時の煙や匂いについて、近隣住民への事前説明と理解を得ることが不可欠です。

3. 「一般廃棄物」として自治体のルールに従い業者に出す

お寺から出る使用済み卒塔婆は、法律上「一般廃棄物(可燃ゴミ)」に分類されます。

「産業廃棄物」として処理する方が、指定ゴミ袋に入れる必要がなく手間が省けそうですが、廃棄物処理法において、お寺から出る使用済み卒塔婆は産業廃棄物には指定できません(※卒塔婆製造業者から出る木くずは産業廃棄物となります)。 そのため、一般家庭と同様に、自治体の指定ゴミ袋に入れ、地域で許可された「一般廃棄物収集運搬業者」に依頼してゴミの日に出すのが唯一の法的手段となります。一般廃棄物の新規収集許可は自治体でのハードルが高いため、既存の許可業者への確認が必要です。

4. 専門業者・製造業者に引き取ってもらう(リサイクル)

最もスムーズな方法として、卒塔婆製造業者や寺社仏閣専門の清掃業者に、付帯サービスとして回収を依頼する方法があります。

私たち卒塔婆製造業者の多くは、新しい卒塔婆を配達する際に、使用済みのものをサービス(または配達・製品代金に含まれる形で費用を明確化して)として回収しています。

回収された卒塔婆は、ただ燃やすのではなく、その多くが以下のようにリサイクルされ、環境保護に貢献しています。

  • バイオマス燃料の原材料
  • 馬小屋の敷材
  • パーティクルボードの原材料

業者と良好な関係を築くための4つのマナー

  1. 事前連絡: 回収する卒塔婆の量や状態を事前に伝えておく
  2. 整理整頓: 回収しやすいよう、指定の場所にまとめておく
  3. 適切な費用の支払い: 業者のコストや努力に報いる支払いを確実に行う
  4. 感謝を伝える: 良好な関係を維持し、次回のスムーズな回収に繋げる

5. まとめ

卒塔婆の処分方法について解説してきました。 カーボンニュートラルやSDGsなど、環境に配慮した流れが強くなってきている現代において、伝統的な「お焚き上げ」という風習は姿を消しつつあります。

これは時代の変化として受け止めなければならない現実です。私たち卒塔婆製造業者も、単に製品を作って販売するだけでなく、役目を終えた使用済みの卒塔婆をどのように安全かつエコに処分していくか、製品のライフサイクル全体を責任持って考えていかなくてはなりません。お寺と檀家、そして業者が三位一体となって、これからの時代に合った最適な処分・リサイクルの形を作っていきましょう。

6. 卒塔婆の処分に関するよくある質問

Q. 卒塔婆を家庭ゴミとして捨てるのは、宗教的に罰当たりではないですか?

A. 精神的に抵抗があるかもしれませんが、法要を終えた卒塔婆は役目を全うしています。どうしても気になる場合は、お墓の前で抜く際に一礼し、感謝の気持ちを込めて、白い紙や半紙に包んでから指定のゴミ袋に入れると気持ちが落ち着くでしょう。

Q. 浄土真宗のお墓ですが、卒塔婆の処分ルールは同じですか?

A. 浄土真宗では、原則として「追善供養」の概念がないため卒塔婆を立てる習慣がありません。もし他宗派から改宗した場合などで古い卒塔婆が残っている場合は、お墓のある霊園管理事務所や、処分を受け入れてくれる近隣の他宗派のお寺、または一般廃棄物として自治体のルールに従って処分してください。

Q. 焼却炉を導入したいのですが、補助金などは出ますか?

A. 自治体によっては、環境対策やダイオキシン抑制のための設備導入に対して、一部補助金や融資制度を設けている場合があります。ただし宗教法人が対象外となるケースもあるため、設置前にお寺の所在地の役所(環境課など)へ確認することをおすすめします。

この記事を書いた人

DAISUKE YAJI 

谷治大典

代表取締役

プロフィール

1999年3月  筑波大学第一学群自然学類数学科卒業
1999年4月  株式会社セブン&アイHD入社
2011年10月 株式会社セブン&アイHD退社
2011年11月 有限会社谷治新太郎商店入社
2012年12月 有限会社谷治新太郎商店代表取締役就任
2019年    カラーミーショップ大賞2019にて地域賞(東京都)
2020年    カラーミーショップ大賞2020にて優秀賞
2023年   ネットショップグランプリにて特別賞授賞
2024年   次世代コマース大賞にて大賞授賞
義父・義母・妻・長男・長女・次女・猫3匹の大所帯
趣味はゴルフ、月1回はラウンドしています。
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